3. 習慣化の注意点とコツ
◆ プロセスに目を向ける
~ その施策はゴールに紐づいてますか?
人気の自己啓発本は、目標達成をイメージしましょうと薦めたりしますが、そこには落とし穴があります。目標達成を夢想すると、まるでもう目標達成したかのように思ってしまい、そこで習慣を止めてしまう危険があります。
「夢想ではなく、実際的になる必要がある。どんな習慣変更が可能かをはっきりさせることで実際的になれる。その一つの方法は「視覚化」。夢想とは違い、効果的な未来の視覚化は、目標達成という単なる最終状態ではなく、そこにいたるプロセスを考えることを意味する。結果の視覚化だけでは不十分である。結果に至るまでの方法、プロセスが見える化されていることが大事」『良い習慣、悪い習慣』ジェレミー・ディーン(心理学者)
プ譜などを使ってプロセスを視覚化し、なぜ自分が習慣を取り入れようとしているのかを改めて認識することが大事です。
◆ 悪い習慣を良い習慣に置き換える
~ スマホ時間を、お散歩の習慣へ
ストレスから回避しようとする時、私たちは習慣化された行動に逃げ込む傾向にあります。その時に悪い習慣に身を任せると、罪の意識が生まれ後悔し、ストレスがさらに増し、再び悪習慣を引き起こします(負のサイクル)。一方、運動といった良い習慣が身についている時は、逆にストレスがウォーキングへと向かわせ緊張がほぐれ、結果的にストレスが解消されます(正のサイクル)。
◆ 小さな目標
~ 施策は、ばかばかしいほど小さな習慣 “small step”にする
『小さな習慣』の著者、スティーヴィン・ガイズは「小さな習慣とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動」と言っています。たとえば「毎日5分、机に向かう」と決めた場合、最低限5分だけは必ずやり、もっとしたい時は1時間でも2時間でもやり続けてOK。でも、なぜ小さな習慣にすることが大事なのでしょう?
まず、脳は変化を好みません。人間は急激な変化にはストレスを感じ抵抗を示し、いつもどおりを維持しようとする傾向があります。そのため新しい習慣を取り入れるには、なるべくゆっくり、少しずつ取り入れていくことが肝要になります。たとえば整理整頓が目標の場合、毎日30分の片付けよりは5分の片付けの方が続けられるのです。
次に、やるべきことをモチベーションに頼るのは危険です。英語の勉強をやる気になっている時は、意気揚々と机にむかうことができますが、やる気のない時はどうするのでしょう?習慣はモチベーションとは関係ありません。ただ粛々とやるだけです。時間がきたから机にむかう、というのが習慣です。ただ、習慣にはモチベーションほどの大きなエネルギーは必要ありませんが、ちょっとした意志の力は必要になります。たとえ5分の片付けや勉強であっても、疲れている時や、友達と遊びたい時は、机に向かう強い気持ちが大事になります。ちょっとした意志力でも習慣を始められるよう、やるべき施策はsmall stepにしましょう。
最後に、ガイズは「小さな習慣を使うと、まるで機械に送り出されるかのように、自己肯定感(self-esteem)が生まれる」と言っています。self-esteemとは、自分自身を肯定的に受けとめ、自分は大切な存在だ、自分はかけがえのない存在だと思える心の状態です。たとえ小さな日々の施策であっても、毎日ちゃんと達成することで自信がうまれ、自尊心を育むことができるのです。大きな目標にしてしまうと、達成できない場合は自己嫌悪に陥り、どんどん自己評価が低くなってしまいます。毎日の成功の積み重ねが、自己肯定感を高める訓練になる。小さな習慣は、自分を信じるためのトレーニングでもあるのです。
さて、花ちゃんですが、ラーニングワールドのテキストBook 3の音声を毎日(短い時でも必ず5分!)聞いて、ノートに英文(少なくもone sentence)を書き写す日課を続けているようですよ。今日は宿題スタンプの上にゴールドシールを貼ってもらえるかな?大人になった時、すてきなパティシエになっているといいですね。子供達が自身の夢に近づけるよう習慣化のところで大人が手助けできれば、やがては大きな花を咲かせることができることでしょう。最後に、福澤諭吉の『家庭習慣の教えを論ず』から以下の言葉をご紹介します。
「幼少の時に見習い聞き覚えて習慣となったことは深く心にしみこんで、容易に直しができないものである。それだから、習慣は第二の天性をなすといい、幼い時の性質は100歳までともいうほどで、まことに人間の賢不肖(かしこさ愚かさ)は、父母家庭の教育次第であるといってもよいのである。家庭の教育には心しなければならないわけである。」